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白昼夢。

夢のようで夢ではない夢。 現を願う夢。

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無題


 僕は夢を見た。
 
 近くも遠くもない。行けないこともない、行けることもない。
 僕の中にある街。ありあわせの道具からでもつくれそうな街だ。
 
 今ある世界を一度全て模型にするんだ。そしてそれを満天の星空にばら撒く。模型は宙を舞う。そのほんの一瞬だけ、模型は星空の海に浮かび、本当に一瞬だけ、その街をつくる。昼のように眩しくも、夜のように暗くも、ない。それは本当にうっすらと輝いて見える。
 
 
 波の音が聞こえる。そこに僕はいた。
 線路を往く、ガタン、ゴトン、という列車の音だけが、胸に残っている。
 今、僕はこの駅で降りたのだ。
 堅牢な木材でできていた。だが、それだけだ。それは、僕の足音―革の靴と木床が奏でる、カツン、カツン、という音―を飲み込んだ。僕としては少し寂しかったが、それでよかった。
 星空が見える。波の音も聞こえる。そしてそのはるか遠く―おそらく陸があるのだろう―には、街が見える。街という木になるあたたかい木の実。木の実によっていっそうあたたかく見える街。
 この駅は、特等席だった。僕が夢見ていたもの、その全てを、感じる事ができた。僕をさえぎるものは、なにもなかった。
 
 僕は荷をとり、階段を下りた。
 ホームの下をくぐるようにして、堅牢な桟橋は、陸へと続いているように見えた。
 
 次に街のほうを向いたとき、僕は水の中にいた。驚いた事に、真水だった。あたたかくもなく、つめたくもなかった。そこがあるようにも、ないようにもみえなかった。
 街へは、おそらくたどり着けないだろう。けれど、ふしぎなきもちだった。
 
 僕がここにいること。この小さな波のあつまる場所に、今、僕はいるんだ。
 
 白靄となって、とけてゆくのを感じた。波の音だけが残った。
 
 
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自己紹介:
 一応ケモノ好き。
 ポップン・DJMAXとかもちまちまやってます、出来は...ね?
 FF5・7・12系、特に12系モーグリは...ッ!
 オンラインネクソンのテイルズウィーバーのユーザーでした。引っ越しの際にアド変し忘れ入れなくなっちゃいました(´・ω・`)かーくん愛。

 FF14始めました(PS4) 。
【データセンター】:エレメンタル
【サーバー】:トンベリ 他1
【メイン】:Moa Rainer
 始めて間もないヒヨッコ。
 鯖取りの合間にサブでもう1キャラ作成しています。メインが弓なのでこっちで魔法の練習をしようかと。まだほとんど触っていないのでどこの鯖使ったか忘れました(スマヌ)。後日追記します。

 月並みですが読書家。伊坂幸太郎・村上春樹の両氏を基盤とし、守り人シリーズや獣の奏者で有名な上橋菜穂子・ミステリー小説家の宮部みゆきなど、本格的な読書家の方々には劣りますが其れなりに読み漁っております。
 不定期で文庫本漁りなど。


 基本的にあんまりこだわらない性質です。
 極めようといった事はせずにゆるーく楽しむのが私流。

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